エコ・クッキング食育

エコ・クッキングプロジェクト

楠公レストハウス@皇居外苑
「江戸エコ行楽重」制作の秘話

2010年9月up

江戸エコ行楽重風景

江戸エコ行楽重風景

8月1日(日)から、予約をすればいつでも「江戸エコ行楽重」が食べられるようになりました。このお弁当は、江戸の食文化とエコ・クッキングの技を融合させたお重。かつて江戸城があった皇居外苑の楠公レストハウスにて、江戸の庶民の味を感じながら食べることができるものです。6月18日に開催されたお披露目会のときに、開発に携わった方々のお話をうかがうことができました。みなさんのお話を聞きながら、このお弁当の魅力や、江戸の伝統とエコの技の組み合わせについて、思いをはせてみたいと思います。


江原先生へインタビュー


左から、東京家政学院大学 岩瀬智美さん、同大学 名誉教授 江原絢子先生、同大学 現代生活学部 山ア薫先生、同学部 石神優紀子さん
左から、東京家政学院大学 岩瀬智美さん、同大学 名誉教授 江原絢子先生、
同大学 現代生活学部 山ア薫先生、同学部 石神優紀子さん

―― ここ楠公レストハウスで「江戸エコ行楽重」のお披露目イベントにて、先生の実験の概要をお話いただきました。ありがとうございました。お弁当の完成度はいかがでしたか?

江原先生:味は、お弁当らしく、それぞれがしっかりとしたおいしい味つけになっていて、よくできていると思います。

―― 先生のご専門の、江戸時代の味という点ではいかがですか?

江原先生: 江戸時代の味つけというので再現が難しい点のひとつに、「分量の表記がない」というのがあげられます。作り方や、材料などは豆腐百珍のような書物に表記がありますが、分量がわからない。

―― そうなのですか!大さじいくつ、というような表記がないのですね?

江原先生: そうです、漬物やお菓子に関しては表記があるのですが、通常のお料理にはありません。ですから、味つけに関しては想像するしかなくて、当時と全く同じ味が再現できているかはわからないのです。そこで、現代の暮らしを考えあわせて、ちょうどよい味つけを作りだす必要があるんです。お弁当ということで、普段の食卓にものぼるものよりも、若干濃いめの味つけにしていますが、今回の江戸エコ行楽重はおいしいと思います。

―― メニューを考案されるにあたって、工夫された点はありますか?

江原先生: いろいろな種類の食材を楽しめるようにしました。味の違うもの、食感の違うもの、ショウガや山椒のような香辛料を使ったものなど、できるだけ同じ印象にならないおかずを取り揃えました。

―― 食べ終わったときに、いろいろな食材を少しずつ、バラエティ豊かにいただけたと思いました。ありがとうございました。


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山ア先生へインタビュー


―― このプロジェクトに参加された感想をお聞かせください。

山ア先生:江戸の料理の基本や、エコ・クッキングに精通された江原先生から、直接学生を指導していただいて、本物の江戸の料理に触れることができて、学生も私もたいへんうれしく思っております。

―― このお弁当にその成果があらわれているかと思いますが、お味はいかがでしたでしょうか。

山ア先生: 本当においしくいただきました。素材そのもののおいしさを感じることができました。素材のうまみを生かす調理法というのは、日本の誇りでもありますよね。日本が胸をはって世界にアピールできる、英語には訳せない、「うまみ」という独自の感覚を、これからも大切にしていきたいな、と再認識できるような味でした。

―― 確かに、ただしょっぱい、甘い、というようなシンプルな味ではなく、深みがあったように思いました。

山ア先生: そうですね。ただの塩味ではなく、その塩味の下に隠れたうまみを引き出すような工夫ができていました。素材も吟味されていますし。

―― 今回お越しいただいた学生さん以外にも、このプロジェクトに関わられた学生さんがいらっしゃいますね。

山ア先生: はい、あと3人、全部で5人の学生に協力してもらいました。教員を目指していますので、教育実習の準備もあり、今日は全員で来られませんでしたが、このお弁当作りの成果を、いずれ自分たちが教える生徒さんにも伝えてほしいですね。

―― ありがとうございました!


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江戸エコ行楽重開発に協力した学生さんへインタビュー


―― この企画に携わられたきっかけについてお聞かせいただけますか?

岩瀬さん:江原先生からこの企画のことを聞いて、ぜひ参加させていただきたいと思って立候補しました。

―― 制作の過程で驚いたことや気づかれたことはありましたか?

石神さん: 三神さんのエコ・クッキングの学習効果についての論文や、中華鍋の熱効率についての論文は事前に読ませてもらっていました。でも、実際にエコ・クッキングの技を見るのは初めてでした。私たちが実習をしている同じ空間でエコ・クッキングの実験をされていたので、見ていて、私たちが普段しているのとは違う!と驚いたのを覚えています。

岩瀬さん: 私たちずいぶん無駄な調理をしていたな、と思いました。もったいないですよね、使える部分をどんどん捨ててしまっていた。それに、エコ・クッキングの実験結果を自分たちで計測してみると、数値になって目の前に出てくるので、すごく納得することができました。

石神さん: そうですね。実際の数値をみれば、納得せざるを得ません。

―― 証拠が出たという感覚ですね?

岩瀬さん: そうです! 自分たちがどれだけ無駄使いしていたか痛感しました。

―― 普段の生活に反映された部分はありますか?

石神さん: 水の使い方には気を使うようになりました。

岩瀬さん: 細めに出してみたり、こまめに止めてみたり…習慣になると簡単にできるようになりました。

―― 買い物や料理の段階での工夫はしていますか?

石神さん: 実家で生活をしているので買い物はあまりしないのですが、コンビニでペットボトルを買うより、タンブラーや水筒を持ち歩くようになりました。

―― さて、実験の成果がこのお弁当になってでき上がったわけですが、いかがでしたか?

石神さん・
岩瀬さん:
すごくおいしかった!


岩瀬さん: 私たちも、授業の一環で江戸の料理の復元をやっていて、実際に作ったことがあるメニューが「江戸エコ行楽重」のなかに入っていたのでうれしかったです。豆腐田楽や、煎りだしの蒟蒻です。

―― ありがとうございました。ぜひまた予約して、楠公レストハウスへいらっしゃってくださいね。


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北区ふるさと農家体験館のみなさんにうかがいました


左から甲下静彦さん、土井富美子さん、児玉朋子さん、狩野一江さん、藤田正道さん
左から甲下静彦さん、土井富美子さん、児玉朋子さん、狩野一江さん、藤田正道さん

―― このプロジェクトに参加された感想をお聞かせください。

狩野さん: じつは…今回の総括をさせていただきました関係でとても緊張しました。かまどでご飯を炊くことは何度も体験しているのですが、今回は実験なので、1日に3回分のデータを取るとのこと。1回目と2回目のかまどの温度差があるのではないか、お米の水加減はどうしょうかとなどいろいろ気をつけました。でも、3回の実験が終わったときにはほっとして、結果が楽しみになりました。しっかりした結果が出せてよかった。

甲下さん:私は七輪の担当でして、魚を焼く実験をしたのですが、網にくっついてしまって一苦労。でも、網に油を塗る方法でクリアしました。

藤田さん:本来は、エコを主眼においた実験で、緊張したり、失敗しそうになったりといろいろありましたが、実験を重ねていくうちに、最後は「おいしいのが一番だね」ということになりました。エコでもおいしくなくては。そんな基本に立ち帰れました。

―― エコ・クッキングの大切な基本のひとつですね。おいしくなくては意味がありません。おいしくないと、つい残してしまい、食材が無駄になってしまいます。さて、今日の「江戸エコ行楽重」のお味はいかがでしたか?

土井さん:よくこれだけの品数を揃えたな、と感動です。とてもおいしかったですし。私にはちょっと量が多かったかなとも思いましたが、育ち盛りの子どもにはいいですね、食育にもなるのではないでしょうか。

―― 冊子とあわせて楽しんでいただけたのでは?

土井さん:そうですね。おかずひとつひとつに違った楽しみがありましたし、それぞれの説明が、イラスト入りで説明してもらえるのが親切ですね。

児玉さん:冊子を見ながら食べられるのは、子どもにも大人にもやさしいですね。どんな工夫がされた料理なのか、確認しながらいただけます。自分たちの実験の結果が、こうして冊子にまとめられると、誇らしくもあります。

―― 実験の結果が、普段の生活に生かせそうですか?

児玉さん: 北区ふるさと農家体験館では、子どもたちと一緒に食事作りをしています。古民家ではすでにエコ・クッキングを実施していますが、これからはこの冊子を使わせていただきます。

土井さん:わたしたちもエコ・クッキングを一から勉強しなおして、子どもたちに伝えたいですね。

―― エコ・クッキングは、江戸の時代から、おばあちゃんやお母さんの時代には当たり前にやっていたことを、今の時代に合わせて実践しているものでもあります。みなさんの活動とエコも、とても近いところにありますね。

児玉さん: そう思います。

甲下さん:普段の活動に生かせそうですね。

―― エコ・クッキングの教育が大切だということですね。

甲下さん: でも、聞かせるだけでは足りないと思うんです、体験しないと。ここで江戸エコ行楽重を、たとえば修学旅行の生徒たちが食べるとする、そのメリットは、旅行に来た思い出と一緒に、エコなお弁当を食べたなと記憶に残ること。机の上で勉強するだけより、実際に食べてみて、冊子を見て、体験して帰る、これが大切なのではないかと思います。

―― 舌の記憶ですね。大人になってからの食生活にいい影響を与えてくれるかも知れませんね。百聞は一見にしかず、です。

児玉さん: あと、ひとつ気になったのが、ここで出た食品の残渣は、どう処理されているのでしょうか。

―― 楠公レストハウスの阿部憲昭シェフにお聞きしましょう。

シェフ:

楠公レストハウスの裏に設置された大型の生ゴミ処理機
楠公レストハウスの裏に設置された大型の生ゴミ処理機

野菜くず等の残渣は、施設の裏に設置している大型の生ゴミ処理機で対応しています。好気性の細菌や酵素を利用して、土に返すような工夫をしています。

―― 大きな施設になると、生ゴミの量も無視できませんね。メニュー開発から生ゴミの処理まで、すべてエコで行って作られた「江戸エコ行楽重」、ぜひみなさんも予約して楠公レストハウスへお出かけくださいね。