日本版「味覚の一週間」

特別セミナー「フランス料理におけるテロワール」

特別セミナー「フランス料理におけるテロワール」7年間のヨーロッパ修業のあと、生まれ故郷である栃木県宇都宮市でレストランを開業し、30年にわたって郷土に根ざしたフランス料理を提供してこられた音羽シェフ。2010年には、農林水産省の料理マスターズを受賞されました。
今回のセミナーでは、テロワールに関する講演と、地元の食材を使ったフランス料理の調理実演と実習で、日本のテロワールの魅力をご紹介くださいました。


講演

テロワールに関するお話音羽シェフが故郷にこだわるきっかけになったのは、フランス修業時代に、ある田舎町で出会った地元の人たちの郷土愛だといいます。「純粋にその土地を愛し、自分たちの料理を誇りに思っている姿を見て、思考回路が変わりました。自分の故郷、栃木について改めて考えるようになりました」と音羽シェフ。

「テロワール」は、もともとはワインの世界の言葉であり、フランス人にはその概念が備わっているといわれていますが、日本人にはほとんど馴染みがありません。音羽シェフはテロワールについて「産物だけでなく、そこの気候、風土すべてを包括する言葉であり、単に地元の食材を使うだけではなくもっと広い意味がある」とおっしゃいます。

最近では、地元の食材を大切にするシェフが増えてきました。
「全国各地でテロワールを取り入れるシェフが増えてくれば、日本の食文化はもっと豊かになりますし、テロワールをきっかけに、次世代の子どもたちに地域の良さを伝えていくこともできます」と、テロワールの可能性について語られました。


調理実演・実習・試食

前菜は栃木県で品種改良されたヤシオマスを使った「ヤシオマスのコンフィ、トマトのヴィェルジュソース」。 ヤシオマスはニジマスの一種で、音羽シェフは、その美しい色合いと脂がのったとろけるような口当たりを生かすために、油に浸けてガスオーブンで低温調理するコンフィという手法を用いられました。つけ合わせの姫きゅうりも栃木県産です。

メインは、音羽シェフのスペシャリテである「伊達鶏胸肉のオマール クレーム」。伊達鶏は福島県の銘柄鶏で、飼育法のアドバイスなど、音羽シェフがサポートしてこられました。「パサつきやすいということで敬遠されがちな胸肉のおいしい食べ方を提案したかった」という音羽シェフが下処理として用いられたのが真空調理。臭みがなく身質がきめ細やかな伊達鶏だからできる調理法です。

デザートは栃木の豊月という梨を使った「和梨のコンポート・ソルベ」。通常は洋梨を使いますが、緻密な果肉の豊月は、おいしいコンポートになるとのことでした。
調理実演・実習・試食


参加者からは、「ヤシオマスはとろけるようにやわらかくて、はじめての食感でした」
「胸肉でも、調理法によってこんなにジューシーに仕上がることに驚いています」
「新しい調理法によって生まれるおいしさを堪能しました」
といった、感想が聞かれました。
調理実演・実習・試食