東京ガス食育クラブ

レポートNo.02 「環境に優しい食育協議会」発足記念シンポジウムを開催しました (8月1日)

食育講座風景2014年度4月に「環境に優しい食育協議会」が発足したのを記念し、帝国ホテルにて「持続可能な社会の実現と食育」をテーマにシンポジウムを開催しました。
シンポジウムは、環境省、農林水産省、文部科学省にご後援いただきました。



開会のあいさつ

東京ガスリビング営業部 部長 吉岡朝之

講義風景創業以来、東京ガスは食と隣り合わせに歩んできました。大正2年に開始した料理教室は、昨年100周年を迎えることができました。また、1992年からは子ども料理教室「キッズインザキッチン」を、1995年からは食から環境のことを考える「エコ・クッキング」をスタートさせ、いろいろな形で食育に取り組んできました。このたび、これらを統合・発展させていくことを目的に「環境に優しい食育協議会」を発足いたしました。今後、各界の有識者のみなさまにご指導をいただきながら、社会貢献に努めていきたいと思っております。


「環境に優しい食育協議会」委員長 服部幸應氏(学校法人服部学園 理事長)

講義風景ビジネスや政治・経済など、世界最先端の会議などで必ず出てくる共通のキーワードがあります。それは「エコロジー」「サスティナビリティ(持続可能性)」「バイオダイバーシティ(生物多様性)」です。みなさん、ぜひ覚えておいてください。
日本は農業国から工業国になり経済的に豊かになりましたが、失ったものは大きいといえます。持続可能な地球は私たちの行動にかかっています。今日のシンポジウムを聞いて、みなさんで考えてみましょう。



第1部 基調講演

「今、求められている生きる力とは?」

講義風景 坂東眞理子氏昭和女子大学 学長
東京大学卒業後総理府に入省。
埼玉県副知事、内閣府男女共同参画局長を歴任後現職。
ご著書『女性の品格』は大ベストセラー。

 


生物としての生命力と社会的存在としての生命力が衰えてきている

1960年以降の経済成長で、貧しさというのは過去のものとなりました。しかし、豊かさの代償として、自然や持続可能な環境が失われただけでなく、いつの間にか、生物としての生命力も衰えてしまったのではないでしょうか。つまり、生き物として本来持っていた、お腹が空いたら自分に必要なものを食べる、という能力が失われ、かわりに、時間になったから好きなものを食べる、という習慣が身についてしまいました。
その一方で、人と関わり、お互いに譲り合い協力して生きていくという、社会的な存在としての生命力も衰えてしまったように思います。

 


人間として生きる力の基本は、「食」に主体的に関わっていくこと

現代では家庭の機能が失われつつありますが、それでもまだ、家庭には自活する力を教える役割があります。しかし、いつまでも親から与えられたものを食べていたのでは自立できません。人間として生きる力の基本は、自分で栄養のあるものを選び、調理し、そして食べて片付けまでする、つまり、食に主体的に関わっていくことにあるのではないでしょうか。食の自立は、人間関係においても、自ら働きかけて関わりを持とうとする力につながっていくと思います。

 


健康は人生の必要条件。人の役に立ち支え合う生き方が社会をよりよくする

豊かな社会になると、かえって、人に迷惑をかけないかわりに人からも迷惑をかけられては困る、といったような価値観が広がってきます。そういった価値観では、社会は持続しません。
私たちは、人生の必要条件としての健康を維持したうえで、人の役に立とう、応援しよう、支えようといったことを目的に生きることが必要ではないでしょうか。いろいろな命をいただいて作り上げた自分の命を、人に循環させていくことが求められていると思います。

 

講義風景



第2部 パネルディスカッション

「持続可能な社会の実現のために食育ができること」

服部幸應氏学校法人 服部学園 理事長
内閣府「食育推進評価専門委員会」座長など、食育関連の委員を兼任。
講義風景

石井克枝氏千葉大学 教育学部 教授
内閣府食品安全委員会委員。小中高の家庭科教科書を執筆。
講義風景


清水きよみ氏公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)事務局長
消費者教育にも取り組み、消費者庁、経産省等の委員を務める。
講義風景

上南昭子(コーディネーター)東京ガス「食」情報センター
 
 
講義風景



食を取り巻く環境の変化と求められている食育

食育の基本の一つである「共食」に関して興味深いお話をしてくださったのは服部氏。
「共食の最初は授乳ですが、授乳中には母親の脳から『オキシトシン』というホルモンが出ていて、これには母子の絆を深める働きのあることが最近の研究でわかりました。オキシトシンは一緒に食卓を囲むときに男女共に出るのです。食育の大切さが科学的にも証明されています」
石井氏は、食への関心が希薄になったこと、食体験の少なさの問題を取り上げ、「調理実習で魚を1尾調理できた経験などは、大きな自信になり食へと興味を促すことにつながります」と、実際に食材に触れる調理体験の重要性を指摘されました。
清水氏からは「時代とともに常識も変化しますが、企業は消費者に正確な情報を伝えてコミュニケー ションを深め、消費者はアンテナを高く五感を磨いて自立することが望まれます」というお話がありました。


より充実した食育指導のために必要なこととは?

「食育の柱に"地球の食を考える"がありますが、食料の確保は食育の重要なテーマです。日本は食料自給率が最も低い先進国ですが、このことは食料だけでなく、環境、エネルギー問題と深く関わっています。食には地球や人類が抱えるあらゆる問題が反映されています。食育には広い視点が必要です」と服部氏。
石井氏は教育の現場から「環境については、家庭科でも衣食住を通して取り上げています。食育は、小学校では家庭科と給食指導の両方で取り組んでいますが、お互いに関連づけることで、より充実した指導ができると思います」と、家庭科教諭と栄養教諭の連携を説かれました。
清水氏は、作成に関わられた「消費者教育イメージマップ」を例に挙げ、「生きていくには、食育、環境教育、金融教育など様々な教育が関わっています。縦割りではなくそれらを包括するような教育が大事なのではないでしょうか。今は、学校、企業、行政、消費者団体と、個別に取り組まれていますが、連携と共働が求められていると思います」と語られました。
参加者からは「食育の範囲は広く、勉強の必要性を感じた」「環境を意識し、自立することの大切さを伝えていきたい」といった感想が聞かれました。

 

講義風景


東京ガスと「環境に優しい食育協議会」

東京ガス「食」情報センターの杉山智美が、「環境に優しい食育協議会」発足の趣旨と今後の活動内容について説明しました。東京ガスでは、同協議会のメンバーのみなさまとともに、環境に配慮した食生活に貢献できる有益な情報を提供していきます。
講義風景
当日は会場内にパネルを展示し、東京ガスの食育の取り組みをご紹介しました。