著名人の方からのコメント

Vol.1 正しい「食」のあり方が子どもたちの未来を育む
食育には三つの柱があります
服部:

そうですね。昔はご飯粒一つ残しただけで叱られたものですが、今は親も平気で捨てますから。親の後ろ姿を見て子は育つといいますが、まさにその通りで、子どもは親が家族のために料理を作ったり、準備をしたり、後片付けをする姿を見ています。親が少し意識するだけで、子どもの食への意識は随分変わるものなんです。もちろん、いまは共働きの家庭も増えて、すべての食事を手作りにするのが難しいのも事実ですから、加工食品を組み合わせることもあるでしょう。そのときに必要なのが、何を食べたら安全か危険かをえり分ける能力です。遺伝子組み換え食品や添加物などをチェックするのもその一つです。

Q:4

その能力も、子どものうちに本物の味を知っておかないと身につかないですよね。

服部:

おっしゃる通りです。ですから、すべての大前提として食の基本を知っていなければいけない。私は常々、食育には三つの柱があると申しています。一つ目が食べものの安全性を見抜く力を養うこと。二つ目が正しい箸の持ち方を知り、「いただきます」「ごちそうさま」という言葉には食べものへの感謝の気持ちが込められていることを知ること。三つ目が食の環境をグローバルに考える力を持つこと。人間は3歳から8歳くらいまでに学んだことが人格の形成に大きく影響を与えるといいます。ですから、この時期に親と子が接触することがいかに大事かを、まずは親が理解する必要があります。ちなみに、8歳くらいまでに準備と後片付けができて、12歳くらいまでに親の代わりに食事のしたくができることが世界標準といわれています。

服部幸應さん 上南昭子さん

大切なのは生活力を養うこと
Q:5 東京ガスでは、食材選びから後片付けまで料理をまるごと体験する、子ども食育教室「キッズ イン ザ キッチン(R)」に取り組んでいます。知識だけではなく、体験を通して食の大切さを知ってもらおうと1992年から続けてきました。先ほどのお話しで、親の姿勢にも問題があるとおっしゃっていましたが、中には危険な物は子どもには触らせない親もいますよね。料理で象徴的なのが火や包丁だと思うのですが、活きていくための力を身につけるなら、それらを使いこなす能力を身につける必要もあると思うんです。
服部: そうですね。包丁は、ただ押せばいいだけではなく、引いたり、カを入れたり、様々な使い方があります。カの配分を考えることが、バランス感覚を養うことにもつながります。それから、熱いものは熱いと知ること。物事は経験を通してうまくなりますから、危ないことを「危ない」とだけとらえないで、「どうクリアするか」を考えていけばいいんです。料理には、生きていくために大切なことを根本から学ぶ多くのヒントがあります。

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