著名人の方からのコメント

炎とは、最後のテイストを加える調味料です。 ゴトクが外せるとCMでおなじみの、最新式ガス調理機器「ピピッとコンロ」を使って行われる東京ガスの料理教室。お店の味が自宅で簡単に再現できると、毎回ご好評をいただいております。キッチンランド葛飾において開催された今回の講師は、真摯なまなざしが印象的な長谷川在佑さん。土鍋を使った美味しくて簡単なおもてなしメニュー4品を教えてくださいました。講座修了後、長谷川さんにインタービューしました。



長谷川 在佑さん 長谷川 在佑さん 「神保町 傳(でん)」店主

1978年6月2日生、東京都出身。18歳より「神楽坂 うを徳」にて修行。その後、多数の料理店にて経験を積み、自身の母が経営する小料理屋にて1年間勤める。2007年29歳の時に独立、神保町に「神保町 傳」をオープン。3年目にして、レストランガイドブック ミシュラン2011年版にて星を獲得。



究極の家庭料理とは、相手のことを想って作る料理です。

Q.1:

料理人になろうと思ったきっかけを教えてください。

長谷川:

僕の母は僕が小さい頃、神楽坂で芸者をしていたんです。いつも仕事が終わると、料亭のお弁当をお土産に持って帰ってくれました。小さい頃からそんなお弁当を普通に食べていたので、料亭の味に慣れ親しんでいたのでしょうね。僕の生活の中では料亭の味は違和感なく、作れるようになりたいと興味がわくようになりました。小学生の頃は健康的といいますか、少しぽっちゃりしていて(笑)、食べるのも大好きだったんです。母も料理が好きでしたから、その手伝いをしながらハンバーグやギョウザなどをよく作っていましたね。

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Q.2:

長谷川さんの原点は、料亭のお弁当と家庭料理だったのですね。そんな長谷川さんの考える「究極の家庭料理」とは?

長谷川:

僕らがふだん食べる家庭料理って、なんでもありますよね。和食だけでなく、イタリアンだったり、中華だったり、エスニックだったり。いろんなものがあるからこそ、毎日食べても飽きないのだと思うんです。僕、実はマザコンだったんですよ(笑)。母が作ってくれる料理がとても好きでしたし、母に喜んでほしいから美味しいものを作りたいと頑張りました。これは、お店でも同じなんですね。大好きな人や大切な人に喜んでもらいたい。そんな風に相手のことを想って作る料理が、究極の家庭料理だと思うんです。

Q.3:

相手のことを想って作る料理とは、例えばどんなものですか?

長谷川:

美味しいものって、どこのお店でも当然のように出てきますよね。その点僕は、その人にとっての美味しいものとは何かを、まず考えるんです。その上で、楽しんでもらえたり、目新しいものに喜んでもらえるのが嬉しいですね。たとえば、日本料理のコース内容はたいていの場合すでに決まっていますが、最近のように寒い日であれば、最初に身体の温まる茶碗蒸しをお出しするとか。ビールの人にはまずおつまみになる唐揚げを出したり、空腹でお酒を飲めない人には一口おにぎりから出したり。「この人にとって今一番美味しいもの」を作りたいんです。1人1人にオートクチュールで対応できるのが料理人だと、僕は思っています。僕はそんな料理人になりたいんです。

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Q.4:

その想いがお店の中に詰まっているわけですね。それが店名にも反映されているとか。

長谷川:

そうですね。会話もお客様を知ることのできるコミュニケーションですが、相手のことを興味を持って聞くということは、好きな人のことを考えるのと一緒なんです(笑)。技術は長くやっていればついてきますが、相手への思いやりは長くやっているからと言って身につくとは限らない。腕の良い料理人はたくさんいるけれど、思いやりを持って相手のことを引き出せる料理人でありたいのです。特に僕は国産の野菜にこだわっていますが、姉の嫁ぎ先である農家の野菜に込められた想いや、陶芸家の友人制作の器に込められた想いなども一緒にお客様に伝えて行くことが、その中間にいる僕の役割だとも思っています。僕自身が、生産する人とお客様両方に支えられていると思っています。店名の「傳」とは、旧カナ使いで「伝」のこと。僕が生産者の「伝」となり、その後はお客様に「伝」になっていただくことで、また思いをつないでいけたらいいなと思います。


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