著名人の方からのコメント

Vol.20 炎とは、料理には欠かせないものです。
炎は、五感をフル活用して食べるために必要なものです。
Q.4:

その後フランスに渡り、帰国後には権威あるコンクールにて、日本人初の上位入賞を果たされるわけですね。

長谷川:

そうですね。6年間ホテルのメインダイニングで働いた後、ようやく渡仏する許しが出ました。26歳の時でした。渡仏直後はフランス語も全くわからず、ホームシックにもなりましたね。給料のほとんどは電話代に使っていたほどです。でも僕は、プライドが高く負けず嫌いですから(笑)。いつも誰かに見られているような気がして、頑張りました。そんな僕の支えになったのが、先輩や仲間からの手紙だったんです。仲間の大切さも、コンクールに出たことによってさらに実感しました。コンクール後、目標がなくなり、失ったものもたくさんありました。まわりに支えられながら、店を盛り上げるためにみんなで得た賞だと思っていたつもりが、周囲には伝わらず私欲のためと思われたり。フランス料理はチームワークです。自分のイメージを伝えたら、それを作ってくれる人も必要なんです。コンクールで得たものやメソッドの他に、仲間の大切さを伝えていかなければと思いました。人材ではなく「人財」。人は財産ですから。後輩を育てるのもあせってはだめですね。一人ひとりがそれぞれ持っている力を100%出せるようにアドバイスする事が大切だと感じます。

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Q.5:

そんな想いのこもった料理ですが、長谷川さんの料理はどんな料理でしょうか。

長谷川:

世界的に有名な料理人、ボキューズ氏の言葉を借りると、音楽に音階と言うベースがあるように、料理にもしっかりとしたベースがあるべきだと思います。その上に自分のアレンジを加え、限りない進化をしていきたいですね。以前のクラシカルなフランス料理はこってりしたソースを使いましたが、現代ではオリーブオイルなどを使い軽やかなソースに仕上げます。時代も情報も進化していますから、料理も基本を忘れず、常に進化する姿勢が必要だと思います。

Q.6:

今回の料理にも、ピピッとコンロが大活躍でしたね。

長谷川:

ガスは子供のころから慣れているので、火加減や火力など見た目ですぐわかりますよね。煮込む時間も感覚で覚えていますから、炎が目に見えるとバロメーターになります。今回の「鶏胸肉と季節野菜のグリル」で使用したグリルは、食材をアルミで包んで点火すれば蒸し焼きや温めなおしもできます。「夏野菜とカッペリーニ」では車海老を揚げるのに油温度調節機能が便利ですし、野菜を茹でるときにタイマー機能があると他の作業が同時進行できて重宝します。今後の教室でも試してみたいと思っているのですが、最近流行りの燻製も自宅で簡単にできるんですよ!ガスの炎を利用して桜のチップに火をつけ、ハーブ豚など瞬間燻製にすることが可能なんです。そうすることで旨みが増し、肉の香りとマッチして脳に余韻が長く残ります。味覚は脳でも感じますから。香ばしさなど五感をフル活用して食べるには、炎は必要なものですね。

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Q.7:

最後に、読者の方にメッセージを。

長谷川:

家庭でも美味しい料理が簡単にできることを知ってもらいたいですね。そして、何でもいいから作ってもらいたいと思います。フランスではよくホームパーティをするのですが、そこでは会話を楽しんだり、褒めあったりといったコミュニケーションがとられています。これこそフランス料理の神髄、でしょうか。食事はコミュニケーションの1アイテムです。忙しい生活の中で、時間がなくても作れる料理があります。料理が作れない方に、家にある食材でこんなものができるのか!と知ってほしい。そして、人と人とのつながりを実感し、家庭で食べるあたたかみを感じてほしいと思います。そして時にはおしゃれして、レストランに至福の時間を求めに来てください!

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