著名人の方からのコメント

炎は、僕の想いです。 安全性・機能性で話題の最新ガス調理機器「ピピッとコンロ」を使って行われる、東京ガスの料理教室とイベント。今回は、リニューアルオープンしたキッチンランド多摩ニュータウンのオープニングイベントにて、日本橋「たいめいけん」三代目シェフ、茂出木浩司さんに「タンポポオムレツ」や「グラタン」のデモンストレーションをしていただきました。いつもイベントや料理教室でご協力いただき、大好評です。そのキャラクターがテレビでも大人気の茂出木さんに、イベント後インタビューしました。



茂出木 浩司さん 茂出木 浩司さん 「たいめいけん」三代目シェフ

茂出木浩司(もでぎ ひろし)さん 「たいめいけん」三代目シェフ
1967年6月2日、洋食店『たいめいけん』の長男として生まれる。祖父が創業した『たいめいけん』は、作家・池波正太郎、映画監督・小津安二郎ら各界の著名人に愛された名店。高校を卒業後、渡米。語学を学んだ後、帰国。修業を終え、実家の『たいめいけん』に入店。1994年、27歳で『たいめいけん』三代目シェフに就任。2001年、日本橋三越の地下に惣菜販売『デリカテッセン・ヒロ』を開店。



人に美味しいと喜んでもらえると嬉しいんですよね、単純っていうか(笑)。

Q.1:

著名人にも愛されている有名店「たいめいけん」ですが、子供の頃から継ごうと思っていらしたのですか。

茂出木:

photoいえ、ぜんぜん(笑)。小学生の頃は、長男だし一人っ子だったので、なんとなく継ぐのかなと思っていましたが、中学・高校の頃、横道にそれてしまって。親と同じ道には進みたくないと思っていたんです。家に近寄らなくなり、店の寮に住むようになりました。当時は好き勝手にやっていましたね。でも以前からの、アメリカに行きたいという思いは変わらず、何かチャンスがないかと考えていました。それで、中学の夏休みにはUSC(南カリフォルニア大学)の英語学校に通ったり、シアトルの父の友人を頼り渡米して英語を学びました。でも、シアトルは寒くてね、帰ってきました(笑)。当時はシェフならフレンチのシェフがいいと思っていたんですが、自由奔放さのためか、面接もなかなかうまくいかなくて。

Q.2:

それだけ抵抗のあった店を継がれたのは、なぜでしょうか?

茂出木:

当時、マスコミに出ていた父とよく比べられましてね。シェフはやらない!と言い張っていたのに、だんだん、やらない方が逃げてるように見えてカッコ悪く感じて……反骨心からでしょうね。家に戻って修行することにしました。その当時は、なかなか修行に行く場がなかったんです。どうせ辞めるのに教えてやるか、という感じで。僕の方も我慢することを知らなかったので、彼らのそんな態度に我慢できず続かなかったんですよね。今と違ってオーナーシェフの店が少なく、オーナーの考えと現場の考えが違っているんですよ。そのため、現場では受け入れられなかったり、うまく溶け込めなかったんです。都内でいくつかの洋食店をまわって修業した後は、結局たいめいけんに戻りました。

Q.3:

では、戻られたあとはうまくいったのですね?

茂出木:

photoなかなかそういうわけにもいかなくて。戻ってきたのは24歳の時だったのですが、店では鍋や皿洗いからスタートしました。でも、どうせ親のスパイだからお前が入ったら辞める、などと現場のスタッフに言われたりしましたね。27歳のころ、結婚に伴い自分の三代目としてのポジションが決まり、徐々に自覚も芽生え始めましたが、30代の半ばには真面目に自分の家を継ごう、自分でちゃんとやっていこうと心に決めていました。17年経った今では人にも恵まれて、今度は、店と自分をどう発展させていくかが課題になりましたね。洋食自体が小さい時から親しんで食べていた味でしたし、変えるべきじゃないと思う反面、どういうところを伸ばしてみんなに知ってもらうかを考え続けました。結局、僕自身のキャラの方が有名になったんですけど(笑)。初代は変わり者、2代目は守り、三代目は攻めって言いますしね(笑)。

Q.4:

答えは見つかったのでしょうか。

茂出木:

そうですね。店に戻った当時は、意外に仕事がおもしろかったんです。人に美味しいと喜んでもらえると、嬉しいんですよね、単純っていうか(笑)。鍋を洗っても達成感があったし、作るということが新鮮で楽しくて。でも、同じことを繰り返しているといろいろ悩んでしまって。悩んでもしょうがないとは思いつつ方向性が決まらず、今も悩んでいます。でも、経験も積んできた40代の今が、一番充実してるのかもしれませんね。今では、本店の味は変えるべきではないと考えています。

Q.5:

それが現在のたいめいけんの味なのですね。

茂出木:

photoたいめいけんの洋食の歴史は、明治から始まった日本における西洋料理の歴史そのままなんです。家庭料理の豪華版といえるでしょうか。「ごはんで食べる」という点では、日本の「洋食」は本来、和食なんです。だから、フレンチのように敷居が高いわけではなく、誰でも気軽に入れるのが理想だと思うんですよ。盛り付けなど、ついつい斬新なものを取り入れたくなりますが、今風にならずシンプルでいいと思う。それが基本かなと。その変わらない中にうちの歴史があるんですよね、説明しにくいけど(笑)。「○○産の△△」といった食材にこだわらず、「いいものを使う」ということにこだわって、長年の経験と歴史を大切にしたいと思っています。


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