著名人の方からのコメント

炎とは、一番身近にいるものです。 安心・安全・便利と大好評の最新ガス調理機器、「ピピッとコンロ」を使って行われる東京ガスの料理教室。キッチンランド調布において開催された今回の講師は、麻布の中国料理「麻布長江 香福筵」のオーナーシェフ、田村亮介さん。素材の個性を生かした、あっさりかつボリューム満点のレシピ4品を教えてくださいました。真摯で飾らない、誠実なお人柄が印象的な田村シェフ。講座修了後、その田村シェフにインタビューしました。



田村 亮介さん 田村 亮介さん「麻布長江 香福筵」オーナーシェフ

1977年東京都生まれ。中国料理店を営む父親の影響で、高校卒業後料理人の世界へ。横浜中華街などで4年間修業を積んだ後、「麻布長江」(現・麻布長江 香福筵)へ入店。当時のオーナーシェフ、長坂松夫氏の下で研鑽を積む。2009年5月より「麻布長江 香福筵」のオーナーシェフに就任、現在に至る。



人との付き合いも、料理の味や盛り付けも、すべてはバランス。

Q.1:

料理人になろうと思われたきっかけを教えてください。

田村:

僕の実家は、自宅兼店舗の中華料理店だったので、子供の頃からお客さんの間で食事をしているような環境だったんです。兄弟3人で食事をするわけですが、料理を運んだり手伝ったり、まるで食卓を囲んでいるようでしたね。日曜は店も休みでしたが、目玉焼きなど自分でも作っていました。そんな時も田村家では、自宅の台所は使わず店舗の厨房を使っていたので、店に立つ感覚は身についていたと思います。

Q.2:

本格的に中華の道に進もうと思われたのは、なぜでしょう?

田村:

photo最初から料理人になろうとは思っていなかったんです。高校を卒業するにあたり、きちんとしなきゃいけないなと漠然と考えてはいたのですが、大学に行こうか、好きな音楽の道に進もうかと悩んでいました。あれこれと考えた末、音楽で飯が食えるか!?と思うに至り、料理の方へ行こう!と(笑)。料理の道へ進むにあたっては、中華以外は考えられませんでしたね。それから学校へ通い、中華街を含めて4年働いた後、「麻布長江」にたどり着きました。

Q.3:

現在のお店の前身ですね。そこに至るまで、何か苦労話などありますか?

田村:

苦労というか、最初の頃は葛藤がありました。地元の同級生が大学に進んで楽しそうにしている頃、僕は自宅だけでなく、毎日店の洗濯や掃除ばかりしていました。自分自身、まだ学生気分が抜けきっていないのに、友人に「何で毎日掃除ばかりしてるの?」って聞かれたときには、なんで毎日こんなことしてるんだろう?って思いましたね(笑)。でも、麻布長江の元オーナー長坂氏に出会ってからは、変わりました。偶然高校時代の親友のお姉さんがライターをしていて、長坂氏が人を探しているのを聞いて、僕に声をかけてくれたんです。この出会いが僕の人生を変えたのかもしれません。見習いが4年過ぎたころだったんですが、ちょうどテングになる頃で(笑)。長坂氏に出会って、これまでの概念すべてが覆されました。

Q.4:

どんな違いがあったのでしょうか。

田村:

photo本当に、天地の差がありました。それまでは、朝お店に行って夜終わるまで、こなすだけの単なる作業だったんです。でも、長坂氏の元では、少数精鋭で1人2、3役をこなすし、料理に対する想いや、お客さんに対する心持ちなど、すべてが違いました。同じ8時間の勤務時間の過ごし方って、違うんですよ。たとえば、ホテルだと社食で食事しますよね。原価管理などもあって、まかないの練習とか味見とかができないんです。でもまかないって、すごい勉強になるんですよね。スタッフを満足させられないと、お客さんも満足させられませんから。
そして、中国料理の文化、歴史、言葉、地域性、時代背景など、それまで考えてもみなかったことを考えるようになったんです。「料理も温故知新が大切。古典を勉強しろ」「同じピーマンでも夏と冬は違う。素材と会話しろ」「畑からどういう状態で作られているか考えて、状態によって作り方も変えろ」など、たくさんのことを教わりました、長坂流の表現は、今でもまねできませんね(笑)

Q.5:

他にも、学ばれたことはありますか。

田村:

実は、入店して数か月は厳しく怒られてばかりで、ここ、もつかな?と思っていました(笑)。とにかく、がむしゃらにやるのみでしたね。その頃があって今がある。自分で決めた人生だから、とにかく頑張れと、今では若い子にも話しています。僕自身、楽しいと思えるようになったのは、ここ数年なんですが(笑)。長坂氏の人間性にも惹かれていました。どんなときにもウェルカムな彼の周りには、いつも人が集まってきます。バイタリティがあり、常に周りとのバランスを考える人なんです。「味はバランス、人との調和」とよく言われましたが、人間的な付き合い方は、料理における味付け、盛り付けと同じで、すべてがバランスなんです。料理もいろんな要素がまんべんなく整って丸くなると、美味しい。人との付き合いも同じなんですね。


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