著名人の方からのコメント

Vol.32 炎とは、生きる源、エネルギーです。
料理は引き算。シンプルが一番です。

Q.5:

なぜ中国の家庭料理を日本で紹介することになったのですか?

ウー:

当時はまだ、日中の交流が少ない時代でした。日本の方は、率直に中国の情報を知りたいという気持ちがあったのではないかと思います。料理の向こう側にある、中国の民族性、食文化、日常の暮らしぶりを知りたかったのではないでしょうか。そのための交流が、私の使命だったように感じます。料理の前では、人って怒りませんよね。会話も続くんですよ。まさにアナログ。デジタルでないコミュニケーションなんです。最近のデジタルというかインターネットって便利なツールですが、使い分けをしっかりしないと危険ですよね。料理を通じて実際に会って一緒に食事をすると、言葉はなくても人の中身がわかるんです。日本での居心地を良くしてくれたのが料理であり、料理によって交流が生まれました。決してインターネットでは対応できないものでしたね。だからこそ、これからもそれを伝えていきたいのです。

Q.6:

ところで、キッチンの収納も得意と伺いましたが、そのコツは?

ウー:

photoとにかく、シンプルにすることでしょうか。たとえば家の中の空間は、自分が主役。だから私、隙間収納は苦手で(笑)。仕舞い込むと絶対と言えるくらい使わないし、たくさんのモノは必要ない。美しいものは見るだけで充分で、すべてを手に入れる必要はないように思います。豊かに暮らすには今の世の中、モノが少ない方がいいのです。モノに頼らない、人間が主役ということですね。ごちゃごちゃするのは好きじゃなんですよ。いらないものはどんどん削る、引き算タイプなんです。だから大掃除もありません。モノがなければその必要がないので。いつか使うかも、とか、安いからっていうものは、まず使わない。逆に高いものを買ってもどんどん使えば、それは結果的に安くなります。ガスコンロもそうでしょう?毎日使うものなので、機能的でいいものを買った方が絶対に得。昔の人は、モノがないと不安になっていたのでしょうね。でも現代のモノがあふれている時代の人は、高い安いではなく実用性のあるいいものを使いこなすことが重要。情報が氾濫するこれからの時代こそ、それをはっきりさせなければいけないように思います。

Q.7:

家庭で料理を美味しく作るコツについてはいかがでしょうか?

ウー:

料理も、引き算すればするほどおいしくなります。論理的な部分を考えないと、美味しい料理はできないんです。たとえば、大根一本でも首と尻尾の美味しさが違うので、辛味をどう生かすか、甘みと水分をどう生かすか、それによって調理も変わってきます。お店であれば一番美味しいものを使えばいいですが、家庭ではそういうわけにはいきません。全部食べるには、工夫と知恵が必要になります。そのためには、とにかくシンプルに考えるのがコツ。まずは、メインの味を決める。そこから献立と味のバランスを考えます。塩味か醤油味か決めると、他のものはそれ以外の味付けにすればいいのです。洋服だって同じでしょう?まずはこのスカートをはきたいと思えば、他も自然に決まってきます。いろいろな素材を混ぜた五目炒めより、シンプルな料理を3品作る方がいい。毎日それを繰り返すと、冷蔵庫の在庫も減りますしね(笑)。

Q.8:

最後に、みなさんにメッセージをお願いします。

ウー:

photo私、倹約とか節約という言葉があまり好きではないんです。欲しいものがあれば、そのために頑張って働こうという気持ちが大切だと思うのです。金額や数字じゃない。価値観や満足感は人それぞれ違うので、自分の中にあるものを無駄なく上手に使うことが、すごく素敵なことではないでしょうか。介護や子育て、仕事といろんな悩ましいことはありますが、時間や体力、経済事情などもとにかくシンプルに考えます。我が家の場合、子供に勉強しろと言ったことはないんです。勉強するのは子供の仕事、学費の支払いは親である私の仕事。こんな風に考えると、世の中どれだけシンプルになるか。自分が納得して生活すること。そうすることで、ストレスなく気持ちも豊かになると思いますよ。


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