著名人の方からのコメント

炎とは、「おいしい」への近道です。 安全性・機能性が格段に進化した最新のガス調理機器「ピピッとコンロ」を使って行われる、東京ガスの料理教室。今回は、キッチンランドの料理教室で講師を務めてくださっている、近茶流嗣家 柳原尚之さんにインタビューしました。雑誌やテレビで今、人気沸騰中の柳原さん。家庭で美味しい和食を作るコツや器について、興味深いお話を伺いました。



柳原尚之さん 柳原尚之さん 近茶流嗣家、『柳原料理教室』副主宰

暁星幼、小、中、高校を経て、東京農業大学農学部醸造学科卒業。在学中、発酵食品学を学ぶ。醸造学の中でも特に酢酸菌・醤油に造詣が深い。卒業後、小豆島のしょうゆ会社マルキン忠勇(株)の研究員として勤務。その後、オランダ船籍の帆船スワンファンマッカム号に唯一のアジア人クルーとしてキッチンをつとめた。現在、父・近茶流宗家柳原一成氏とともに、柳原料理教室にて、日本料理、茶懐石の研究指導にあたる。また、アイスホッケー、自転車、茶道、舞踊と和洋静動問わず、幅広い分野に趣味をもつ。



料理は器に入って映えるもの。ちゃんとした器を使ってほしいですね。

Q.1:

この道に進もうと思ったきっかけを教えてください。

柳原:

photo代々料理をする家系に生まれましたが、子供の頃から料理の道に進もうと思っていたわけではありませんでした。ただ、小さい時から料理教室に出入りすることが多く、そこが私の遊びの場でもあったんです。たけのこを茹でたり、鮎を焼く炭の当番をしたりね。幼心に、将来この道に進むのかもしれないとは思っていたかな。実際心に決めたのは、24歳の時でした。当時私は海外船籍のキッチンクルーとして船に乗っていたんです。私にとっては初めての洋食でしたし、英語も慣れない中、いきなり戦力でしたからね。そういう中で150人くらいのパーティが昼夜開かれる、寝るのも2,3時間という帆船イベントが1〜2週間続きました。料理が好きだったんでしょうね。そのイベントの最終日に決めたんです。料理を一生の仕事にして生きていこうって。1年経った頃、修理のため船がドックに入ることになり、これからどうしようと悩んだ末、ありがたいことに日本料理であれば親父という師匠がいましたからね。ぱっと、日本へ帰ろう!って思ったんです。

Q.2:

大学では発酵学を学ばれたそうですね。

柳原:

高校で進路を決める時、周りの雰囲気で大学へは行かないといけないらしいと、感じていました(笑)。でもどうせ行くならちゃんと勉強できるところに行きたいと思っていました。そこで、父も祖父も東京農大だったので、その中でも日本で唯一の醸造学科へ進むことにしました。生物学の基礎や、学問としての酒や味噌、醤油について環境学など全て勉強するんです。おもしろかったですね。特に私は醸造調味料学に興味があり、研究室ではお酢について専攻し、香味の研究をしました。米の量が増えるとムレ臭が出るとか、酵素の研究とか。作り方にこだわった酢を料理に使うと、全然違うんですよ。父も祖父も調味料にこだわっていましたからね。とても勉強になりました。

Q.3:

ご趣味も幅広いと伺いましたが。

柳原:

静と動の趣味がありますが、静の方では茶道をずっと続けています。茶道は日本の礼儀作法を学べますし、気持ちが落ち着きますね。戦国武将がお茶に安らぎを求めたのもわかる気がします。動の方ではクレー射撃を月一回くらいやっています。集中力がつくんです。冬は猟にも出かけますよ。獲った獲物は教室でお見せしたりもしますね。真鴨、カルガモの違いなどをお教えしたり。鷭(ばん)という真黒な鳥がいるんですが、これ、とても美味しいんです。ときどき自分で毛をむしったりしているんですが、真黒なのでカラスと間違えてびっくりされることも(笑)。自分で獲物を獲って絞め、さばいて食べるのはとても勉強になります。さばき方や内臓の取り方、調理の仕方もわかってくると、素材を大切にするようにもなりますね。

Q.4:

料理の器にもこだわられているとか。

柳原:

両親も器が好きで、一緒に有田や清水に出向いて選んだり、職人さんと交流したりしています。料理って、器に入って映えるものなんですよ。額みたいなもので、入る料理によって格も見た目も変わります。だからこそ、ちゃんとした器を使ってほしいんです。日本ほど、いろいろな形や素材の器があるところはなかなかありません。でも今は住宅事情もありますので、家庭では汎用性の高いものを用意しておくとよいでしょう。たとえば、漆の椀。ちゃんと木でできていて、漆を塗ってあるものを用意してみてください。そして、その扱いも覚えてほしいんです。中には、スチール製のたわしで洗ってしまう方もいらっしゃるんですが、知らないからやってしまうんです。扱いを知っていれば、このようなこともなくなります。それが教室でお教えする意味でもありますね。
磁器や陶器は割ってしまうこともありますが、それも仕方がないんです。プラスチックでは、その良さは伝わりませんから。色や模様、唇に当たる感触も料理のうちです。そして、器は教養としての料理学でもあると思います。レシピだけでなく、その由来、素材、産地、器の扱いなどね。たとえば、筒茶碗は本来、炊き込みご飯しか入れてはいけないものなんですよ。白飯を入れると非礼になることもあるのですが、ご存知ない方も多い。教室では単なる食事としてだけではなく、礼儀作法も含めて勉強してもらっています。


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