著名人の方からのコメント

Vol.42 炎とは、食材を生かす“力”の原点です。
炎は、ひとつの食材を美味しく生かしてくれる力です。

Q.4:

ピピッとコンロを使ってみていかがでしたか。

今平:

photo自宅でも使っているんですが、特に気に入っているのがグリルに入れて使えるダッチオーブンなんです。私にとっては小さい頃の宝物入れのようなもので、その中に食材を入れるのが楽しみで楽しみで(笑)。こんな風に出来上がるんじゃないかと想像して、開ける前にワクワクするんですよ。鉄鍋はキャンプなどで経験がありますが、家で作れるようになってびっくりですね。家族も喜んでくれます。コンロは衛生的だし、バラバラに分解できるし、掃除が簡単にできるのもいいですよね。タイマー機能を使えば火もピッと止まるので安全性が高いですし、火力も以前より強くなっている。グリルも昔と違って肉の余計な脂が下に落ちてくれるし、炊き込みご飯もいい状態に炊けるんですよ。お米に味がしみ込んで、ガス火ならではの美味しいご飯に仕上がりますね。

Q.5:

炎とは、今平シェフにとってどんなものですか。

今平:

いろんな調理法がありますが、火力の強弱をうまく調和させると本当に食材が生きるんです。さっと炒めたり、火を止めた後もゆっくりじっくり残った余熱で熱を入れていく、途中でまた点けるの繰り返しです。その過程があって生きてくる食材もたくさんあります。言葉にすると難しいのですが、ブイヨンなども最初強火で、そのあと中火にしてクツクツと煮込むと、野菜や肉のエッセンスが出て美味しくなりますよね。すべて火加減ですね。それが変わると出来上がりも違ってくる。炎はとても大切です。原点であって、技術として使わせてもらうことで、食材が生きてくる。炎は、ひとつの食材を美味しく生かしてくれる力ですね。

Q.6:

家庭で料理を美味しく作るコツはありますか?

今平:

photo家庭でも火加減がものすごく大事ですね。料理の仕上がりは、炎の加減が影響しています。料理教室で見ていても、皆さん慌てられるんですが、つつかないことも大切なんです。たとえば鶏肉やロース肉の塊など、初めに強火で動かさず、更に中火でゆっくりと片面に熱を加えます。ある程度焦げ目がついたら、スプーンで油をかけてあげるといいですよ。片面ずつゆっくりと、火を止め蓋をして余熱で火を通すとジューシーで美味しく仕上がります。野菜はスピーディーなのがいいですね。温まったところに入れて、少し待ってからかき混ぜるといいんです。ここがポイント。野菜を入れた直後はフライパンの温度が下がるので、少し待ってからかき混ぜてください。すぐにかき混ぜるとじわじわ熱が加わるので、水が出てしまいます。きのこもそうですね。水で煮たみたいになるので、少し待ってからかき混ぜた方が美味しく仕上がります。少し待って炎を生かすということです。日々の料理の中で、食材と炎と自分の距離感を少しでも感じていただけると、わかってくると思います。

Q.7:

最後に、今後の展望をお聞かせください。

今平:

私は生まれ育った横浜が大好きなんです。食べ歩きもたくさんしましたし、研修で海外に行った後も、ここに帰ってきました。開店当初から勤めて33年になりますが、ここで料理を作り続けて生きがいを感じています。今日来てくださるお客さまが楽しんでくださるのが、最大の喜びです。そのお客さまのために、精いっぱい頑張りたい。西洋料理は開港した横浜の街の文化でもあり、和と洋が融合したイメージでもあり、東洋と西洋の交差した料理でもあります。それが横浜らしいし、その中で作っていることを誇りに思います。
でもそれらは、一人ではできないことなんです。すべての人と一緒に作り続けていくことが楽しみでもありますし、地元の食材を地元で使っていきたいとも思っています。そのため、横浜で作られる横浜野菜や、それを作ってくださる若手農家の方々を、今、応援しています。農家の方々とも家族で付き合っていますし、誇りに思っています。これだけ近いから、一緒に作る大変さが伝わってくるんですよ。一緒に作る大切さ、一緒に食べる楽しさをメッセージとして伝えていきたいですね。
それから、横浜市のすべての小学校で食育の講座をしたいと思っています。現在小学校が横浜市内に356校あるんですが、今、50校ほど回っているんです。全校まわりたいですね。中には、料理人になりたいと手紙をくれるお子さんもいます。地元でそういう活動をすることも大切ですね。人生にとって大切なことが食を通じて伝わります。これからも、僕たちにできることを続けていきたいと思っています。


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