著名人の方からのコメント

炎とは、おいしさを伝えるかくし味です。 安全性・機能性が格段に進化した最新のガス調理機器「ピピッとコンロ」を使って行われる、東京ガスの料理教室。今回は、キッチンランドの料理教室で講師を務めてくださっている、南青山「HATAKE AOYAMA」取締役総料理長 神保佳永さんにインタビューしました。“野菜の魔術師”として数々の野菜レシピや美容・健康レシピを生み出す神保シェフ。野菜や食育について、興味深いお話を伺いました。



神保佳永さん 神保佳永さん 南青山『HATAKE AOYAMA』取締役総料理長

茨城県日立市出身。料理人の父親の元、長男として生まれる。父方が農家、母方の祖父が漁師、叔父が和食の割烹を営み、飲食の家系に育つ。東京辻エコールキュリネール国立フランス料理専門カレッジにて料理の基礎を学び、卒業後はフレンチレストラン銀座「ベルフランス」に入社。20歳で渡仏・渡伊。各地方のミシュラン星付きレストランで約2年間ヨーロッパ修行を経験し、帰国後「株式会社ひらまつ」に入社。丸の内「サンスエサヴール」でオープニングスタッフとして、また同会社各店にて活躍する。その後「スターツホテル開発株式会社・ホテルエミオン東京ベイ」に副料理長として入社、同年10月に洋食総料理長に就任。2009年6月にパークコート神宮前の1階にフランス料理レストラン「Restaurant-I」を立ち上げて、総料理長として貢献後、自身のあたためて来た想いを形にすべく、2010年6月に独立、港区南青山に「HATAKE AOYAMA」をオープンさせる。



僕の感じたものをお客さまにも食べてほしい。

Q.1:

なぜ料理人になろうと思われたのでしょうか。

神保:

photoそうですね、父の意思でしょうか(笑)。実家が飲食店をやっているのですが、母方も含め、割烹や漁師など飲食家系だったんです。家業を継いだというか。でも、兄弟もいますが継いでいるのは僕だけなんですけどね。
もともと料理人になろうとは全く思っていなかったんです。教師になりたかった。いつも忙しい父の背中を見て育ちましたし、小中学生の時も夏休みや冬休みにどこにも行けなくて。周りの子は旅行のお土産を学校で配ってくれるけど、僕は返すものがないんです。休みだからこそ店を開けていますからね。反発精神で、料理人なんかなるものか!と思っていました。

Q.2:

それが変わったきっかけは何だったのでしょうか。

神保:

僕も受験を考える年齢になり、教師になりたかったので大学に行きたいと思っていました。しかし父は、料理の専門学校に行けと言ってきたんです。授業料は父が払ってくれますからね。でも僕はあきらめきれず、大学の資料を取り寄せて見ていたんです。が、父も負けずに専門学校の資料を取り寄せて、体験入学に行ってみろ、と。僕も東京に遊びに行きたいのもあって、行ってみたりしていました。
いよいよ高3になって進路を決めなければならなくなり、父とひと悶着ありました。いろいろと話をして、自分が料理人を継ぐと決心したんです。その代わり弟には好きなことをやらせてくれ、という条件で。結局言われるがままですね(笑)。父の思惑通り専門学校に行き、レストランに入りました。

Q.3:

今のお店では野菜に力を入れていらっしゃるとか。

神保:

photoそう、青山のお店には畑を作りました。でも、実は野菜嫌いで、昔は野菜を食べなかったんですよ。肉とかキャビアとかがやっぱり美味しく思えて、野菜に魅力とか美味しさとかいうものを感じなかったんです。野菜はFAXすれば届けてもらえるものという認識で、どんな環境でどう育つものなのかではなく、値段の問題だと思っていました。大手のレストランだと高級な食材を使えますが、小さなレストランだと使えなくて、同じ工程で料理を作っても美味しくできないんです。
昔はトマトが嫌いでした。サラダについている水っぽいトマトなど、美味しいと思わなかった。でも25,6歳の時、千葉で食の物産展があって、そこで食べたトマトが美味しかったんです!甘みも強く、食感も良くて。その時、あまりの甘さにスゴイ質問をしたんですよ。「このトマトを育てるときは、土にどのくらい砂糖を入れるんですか?」って。そんなレベルだったんですよ(笑)。それで農家さんが笑いながら、畑に来てごらんって。

Q.4:

それから、畑を作るまでになられたんですね。

神保:

トマト畑に伺って、土の作り方や何日後に苗から花になるなど話を聞き、採れたてを見せてもらって、「お砂糖、入ってないよね。」と。野菜ってこうやって育つんだって、初めて知りました。なぜここをクローズアップしなかったんだろうって、考え方や価値観が変わりましたね。料理がどんどん引き算になっていって、素材の美味しさをどうやって引き出すかを考えるようになりました。次第に自分の畑が欲しいと考えるようになり、その思いが店名にもなっているんですよ。野菜中心のイタリアンで、僕の感じたものをお客さまにも食べてほしいと思いました。
それから、千葉の農家さんから土をもらって畑を作り、無農薬、有機栽培で6年目になります。虫も自分で取ったり、牛乳をかけたりと、虫ごとの駆除の方法も学びました。肥料も何で作るかで野菜の味が変わるんです。土の状況を見て、人の手でいくらでも美味しくできる。
そして、農家さんとお付き合いをさせてもらうにはやはり一から知ろうとしないと。「お兄ちゃん、農業のこと知ってるね!」というところから、お付き合いさせてくださいってなるんです。単なる契約・取引ではダメ。お付き合いを続けて応援し、美味しさを伝えていきたいと思います。


次のページへ