著名人の方からのコメント

Vol.48 炎とは、自分の中の中心にあって、生涯のパートナーです。
ガス火は鍋を包み込んでくれて、全体を温めてくれるんです。

Q.5:

シェフにとって、炎とはどんなものでしょうか。

高良:

photo炎とは、自分の中の中心にあって、僕らにとっては生涯のパートナーでもあります。一番身近にあるものですね。炎は自分でコントロールしながら使えるし、コントロールしやすいように器具もどんどん改良されているんです。
ガスって熱の対流が起こるんですよね。例えばフレンチで重要なフォン(だし汁)を作るときに鍋肌を熱が伝わって全体を加熱するんです。鍋肌に温度が伝わらないと、調理できないってことですね。その対流で仕上がりも変わるんですよ。だしの素になる骨をたくさん入れたら茶色くなるってもんじゃない。熱が鍋肌から伝わっていき、下からも横からも温めて、ゼラチンがキャラメリゼしていい意味で茶色くなって、その香りが味にも出るんです。だからヘタな人がやると苦味が出てしまうんですよ。ガス火は鍋を包み込んでくれて、全体を温めてくれるんです。これじゃないとできない料理も多い。最後の仕上げに炎を使って焼き色など炎の力を加えることで、出来上がりの表情が変わるんですよ。ここ一番で力をくれるのがガスの炎です。

Q.6:

教室ではピピッとコンロを使いこなしていただいていますが、使ってみていかがですか。

高良:

調理場に欲しい!!!次の調理場計画の中では、設計にピピッとコンロを組み込んでいるんですよ。調理場は前菜か肉か魚かソースかによって担当場所が分けてあるんです。その調理の流れを考えて、オードブル用のコンロを入れたいんですが、業務用の大きいものは入れられない。そんな時にピピッとコンロが欲しいと思うんです。油の温度設定もできるし、そうなると手も空いて他の作業ができる。より多くのものを見ることができるし、逆にひとつのものに集中することもできる。目を離さずに手を離せるということですね。メモリひとつから調節できるので、気を取られることなく、仕事上無駄が軽減できるんです。

Q.7:

他に使いやすい点、家庭で美味しく作るコツなどありますか。

高良:

グリルは使いやすくなっていますね!上火、下火があることで火のムラがなく、安定している。フライパンで肉を転がして焼いて、最後にグリルを強火にして焼き色を付け、出して寝かせて休ませる。安定性が良くおいしく仕上がります! ダッチオーブンでパンも焼けますよ。ローストポークも焼けるし、手軽に使える簡易オーブンのようなイメージですね。 ある程度任せてコントロールできるし、やりながら楽しく調理できる。コンロが話しかけてくれるから、「サンキュー!」って思うね(笑)。
あとはね、調理場って言うのは掃除から始まり掃除に終わるものなんだ。それができていないといい料理ができない。一見きれいだけど、料理を乗せると違うんです。その点、ピピッとコンロは単純に掃除がラク!ゴトクを外して掃除しやすいように設計されているからね。例えば吹きこぼして汚れたときでも、ラクですよ。
火に対する怖さも解消してくれるし、温度が勝手に上がったり下がったりの不安もとってくれますよ。火が弱いからおいしくできないのではありません。逆に一定の温度を保ちながら調理もできる。たとえばお肉ね。フッ素加工のフライパンにまずは火を付けずに並べる。落ち着いて味付けしてから点火して、中火の手前で煙が出ない程度にじわっと焼いてひっくり返し休ませて、最後にフライパンの温度を上げてジャッと焼く。そうするとおいしく仕上がりますよ!

Q.8:

最後に、今後の展望をお願いします。

高良:

40年、諸先輩方が引き継いでいらした「銀座レカン」を預からせていただいて、この度ビルの建て替えにつきリニューアル、2年後にオープンします。ただ新しいだけでなく、伝統や歴史、店の背景を背負って、これから先を目指して行きたいと思います。次は僕がバトンタッチしていきながら、40年プラス1日でも長くレカンを継続していきたい。
この店を引き継いだとき、出された条件は何もありませんでした。自分ですべて好きにしろと言ってもらった。ある意味ありがたかったのですが、逆に、やらない、やっちゃいけないこともあると思うんです。真似事で作るのは失礼。中途半端に引き継いじゃいけないと思いました。声をかけてくれた先輩もいるし、憧れていた店でもありますから、ホスピタリティ含め、レカンとして引き継いで伝えていきたいと思います。
継承は発展ではない。伝統を理解したうえで、自分がその先に向かっていかなければならないんです。“今”この瞬間を表現する店としてやっていきたいと思います。


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