太陽光発電システムに維持費用はかかる? 相場や機器の寿命も要チェック

公開日:2024.2.29 更新日:2024.2.29

太陽光発電システムに維持費用はかかる? 相場や機器の寿命も要チェック

太陽光発電システムは一度設置すれば、その後の運転維持費は比較的安価に運用することができます。その理由の一つは、使用する各機器の耐用年数が長いことにあります。しかし、修理が必要になるような故障やその予兆を早期に発見して、安定した発電量を確保していくためには、日々のチェックや定期的な点検などを行うことが肝心です。

この記事では、太陽光発電システムの運転維持費や、それに大きく関わる機器の寿命について解説していきます。

目次

太陽光発電システムに維持費用はかかる?

太陽光発電システムは、基本的に設置後は頻繁な手入れなどは不要です。しかし、日本電機工業会・太陽光発電協会が共同で作成した「太陽光発電システム保守点検ガイドライン(2019年12月27日改訂版)」では数年ごとの定期点検を推奨していることもあり、少なからず運転維持費は発生します。

調達価格等算定委員会の意見書によると、太陽光発電システムの年間あたりの運転維持費は、発電容量1kWあたり3,000円とされています。

運転維持費の詳細については、後半で詳しく解説します。

参考:日本電機工業会・太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン(2019年12月27日改訂版)」
参考:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」

太陽光発電システムの維持費用の相場は?

冒頭で触れたとおり、調達価格等算定委員会の意見書では太陽光発電システムの年間あたりの運転維持費は、発電容量1kWあたり3,000円です。

ただし、この費用は毎年かかるものではありません。この運転維持費は、数年に1回の定期点検、十数年に1回のパワーコンディショナの交換をもとにした想定値であるからです。この点について、同意見書では下記の注釈もあります。

なお、定期報告データ(2023年1月~8月)の平均値は約738円/kW/年、ただし、報告の92%が0円/kW/年。この原因としては、定期報告データに対象年に点検費用や修繕費用が発生していない案件が多く存在する可能性が考えられる。

引用:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」

年間3,000円/kWの運転維持費が継続的にかかるものではないこと、そして定期報告データのサンプルの大部分が2023年に修繕費用が発生していなかったことが、上記の注釈からも読み解けます。

とはいえ機器が故障してしまった際、メーカーの保証期間外であれば修理費などは必要となります。そのため故障や不具合の予兆にできるだけ早く気付くことが、運転維持費を抑えるポイントになります。

参考:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」

故障にいち早く気付くには?

太陽光発電システムで何らかの不具合が起きていることに早く気付くためには、日頃から発電モニターを見ることが効果的です。システムのどこかにトラブルが起これば、発電量が急激に減ったり、発電ができなくなったりするからです。

例えば、自然災害などの外的要因で太陽光パネルが損傷したり、太陽光パネルのガラス面が汚れてしまったりすると発電量が減少します。そのほか、配線部分の経年劣化や損傷などによる損傷でも、発電性能が下がることがあります。

いずれにせよ、よく晴れているのに普段より発電量が顕著に少なかったり、まったく発電できていないという場合は、何らかの不具合が起きているといえるでしょう。

故障やトラブルを早期発見するためには、日頃から発電モニターをチェックするほか、もし安全な場所から太陽光パネルを目視できるのなら、太陽光パネルや架台に傷や割れ目などがないか見てみることも有効でしょう。屋根に上らないと太陽光パネルを目視確認できない場合は、無理に目視確認しようとすると危険なため、業者に依頼するほうが安全です。

機器の寿命についても知っておこう

太陽光発電システムを構成する各機器には寿命があります。機器の寿命とは、経年劣化や故障などで使用できなくなる時期を指すため、毎月あるいは毎年費用がかかるわけではありませんが、機器が寿命を迎えると買い替えが必要になり、大きな費用が発生することがあります。

太陽光パネル

太陽光パネルの寿命は長く、一般的に25~30年とされています。
太陽光パネル内にある半導体は半永久的に発電し続けられますが、架台や配線などは経年劣化するため、寿命を迎えたら買い替える必要があります。

太陽光パネルの不具合は発電量に直結するため、設置後の運用年数、そして日頃の発電量の様子から寿命を迎える予兆を捉えたいところです。

なお、環境にあった材質の太陽光パネルが選択されているか、屋根の形状に最適な工法で取り付けられているか、といった施工品質も太陽光パネルの寿命に影響します。
太陽光パネルは高価であるだけに、数年の寿命の差は大きな違いを生みます。そのため導入時から、知識や経験が豊富で技術力の高い信頼できる施工会社を選ぶことが大切です。

パワーコンディショナ

パワーコンディショナの寿命は、一般的に10~15年といわれています。
パワーコンディショナは、太陽光パネルで発電した直流電気を家庭内で使用できる交流電気に変換する役割などを担う機器で、太陽光発電システムを構成する機器の中では比較的早く寿命を迎えます。

パワーコンディショナが寿命を迎えると、頻繁にエラーコードが表示されたり、モニター表示自体がされなくなったりということが起こります。

なお、パワーコンディショナは熱排気部分のフィルターが目詰まりして故障しやすいため、日頃のお手入れに注意しながら、長く使える工夫をしましょう。

まとめ

太陽光発電システムは年間3,000円/kW程度の運転維持費がかかるとされていますが、定期点検や修繕を行わなかったり、機器の買い替えが発生しなかったりする年は、こうした維持費はかからないといえます。ただ、修繕や買い替え時期を判断するために、日頃から発電モニターをチェックすることが理想的です。

また、各機器には寿命があることを解説しましたが、一般的な寿命を迎える前に修理や故障してしまう可能性も捨てきれません。

東京ガスでは導入後のサポートまで責任をもって対応することはもちろん、メーカーによる長期保証制度をご利用いただくことができます。戸建住宅にお住まいの方に向けた無料訪問相談を行っていますので、導入後の維持管理についても、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者: 東京ガスの太陽光発電サービス コラム編集チーム

太陽光発電・蓄電池の仕組み、メリットから設置、メンテナンスなど幅広いトピックを解説します。みなさまの太陽光発電・蓄電池選びに役立つ情報を発信していきますのでぜひご活用ください!

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