家庭用蓄電池の目安容量と選び方

公開日:2024.2.29 更新日:2024.2.29

家庭用蓄電池の目安容量と選び方

家庭用蓄電池の設置を検討する上で、容量は特に悩むポイントではないでしょうか。

電気の使用時間や停電時に使用したい家電の消費電力などから、自分の家庭に合った容量を選ぶことが大切です。

今回は、ベストな容量を選ぶ方法について解説します。家庭用蓄電池の導入を考えていて、容量に迷っているという方は、ぜひ参考にしてください。

目次

家庭用蓄電池の容量の選び方(1) 「電気使用時間」

普段の電気使用時間から逆算して、蓄電池に必要な容量を選ぶ方法です。

電気の使用時間は家族の人数やライフスタイルによって異なります。普段使用する家電製品の消費電力や時間から必要な電力量を逆算すると、適切な容量を判断しやすいでしょう。使用する電力量を求める計算式は以下のとおりです。

消費電力(W)×時間(h)÷1,000=電力量(kWh)

一般家庭で使われる主な家電の大まかな目安消費電力量は、以下の表のとおりです。

家電製品 消費電力(1時間あたり)
家庭用エアコン 400~800W
照明(40Wタイプ) 40W
テレビ 100W
洗濯機(洗濯のみ) 200W
冷蔵庫 40W
電子レンジ 1,400W

  • 注)
    製品によって消費電力は異なるため、詳しくは説明書や製品に表記された仕様をご確認ください

例えば、日中は出掛けており19時から翌朝7時までしか家にいないとして、各家電の電力消費量を計算してみましょう。上記表の消費電力を参考に、家電ごとにおおよその稼働時間をかけていきます。

・エアコン:400W×5h÷1,000=2kWh
・照明:40W×5h÷1,000=0.2kWh
・テレビ:100W×3h÷1,000=0.3kWh
・洗濯機:200W×1h÷1,000=0.2kWh
・冷蔵庫:40W×24h÷1,000=0.96kWh
計:3.66kWh

各家電の消費電力は使用条件により変動するため、あくまで目安にすぎませんが、自分の家の最適な容量を確認するための一つの方法だといえます。

家庭用蓄電池の容量の選び方(2) 「太陽光発電システムの容量」

太陽光発電システムをすでに導入している場合は、その発電容量から蓄電池の容量を選ぶ方法もあります。

太陽光発電システムの発電量と蓄電池の容量が異なる場合、電気が余ってしまったり、ためる際の効率が悪くなったりします。そのため、太陽光発電システムの発電容量を確認しておくことが必要です。

例えば、太陽光発電協会では、発電容量1kWあたりの年間発電量の一例として「1,000kWh」と述べています。これに従い1日あたりの発電量を約2.7kWh/kWと考えると、発電容量が5kWの太陽光発電システムの場合は、1日あたりに約13.5kWhの電力を発電できると想定されます。さらに発電した電力量に対する自家消費の割合(自家消費率, 電力自給率)を30%と仮定すると、自家消費しない余剰電力は約9.45kWhになります。

もちろん、すでに太陽光発電システムの発電量を日頃から発電モニターなどでチェックされている方は、そうした機器から読み取れる情報をもとに検討すると、より実態に合わせた蓄電池の容量を選ぶことができるでしょう。

参考:太陽光発電協会「太陽光発電により、家庭で使用する電気を全部まかなえますか?」

家庭用蓄電池の容量の選び方(3) 「停電時に使用したい家電の消費電力」

停電したときにどの家電を使用したいかが明確なら、それをもとに蓄電池の容量や対応電圧を選ぶこともできます。

蓄電池には100Vだけに対応しているタイプと、100V・200Vに対応しているタイプがあります。一部のエアコンやIHクッキングヒーターなどへの給電は、200Vに対応している蓄電池でなければなりません。これらの機器を停電時に使用したい場合、200Vに対応しているものを選びましょう。

ただし、200Vの給電をする場合は出力が大きくなる傾向にあり、電気使用量も増えやすいため、蓄電容量を多く見積もっておく必要があります。停電時にどのように過ごしたいかを考え、使用する家電の電圧や消費電力から必要な容量を考えましょう。

家庭用蓄電池の容量を選ぶときの注意点

自分の家に最適な家庭用蓄電池を選ぶ際は、蓄電容量や寿命もチェックしておきましょう。ここからは、蓄電池を選ぶときの主な注意点を3点紹介します。

注意点(1)蓄電容量は大きすぎてもNG

蓄電容量は、使用する量に見合ったものを選ぶことが基本です。

一般的に、蓄電容量が多いとそれに比例して本体のサイズも大きくなるため、より広い設置スペースを必要とします。さらに、蓄電池本体の価格も高額になり、費用対効果の観点から無駄なコストとなりかねません。

また、蓄電池には寿命があり、長期的に見てもいずれは買い替えなければならない製品です。蓄電容量が大きすぎても、持て余して使いこなせないまま寿命を迎えてしまう恐れがあります。

大は小を兼ねるという考えはせず、大きすぎず小さすぎない最適なサイズを選びましょう。

注意点(2)定格容量ではなく、実効容量で選ぶ

蓄電池の容量の表示には「定格容量」と「実効容量」の2種類があります。定格容量はフルで使える容量ではないため、実効容量を基準に選ぶことが重要です。一般的に、実効容量は定格容量よりも10~20%程度少なく設定されています。

・定格容量…規定された条件の下で蓄えられる電気量のこと
・実効容量…実際に使える電気量

注意点(3)サイクル数や保証期間もチェック

サイクル数や保証期間から、どのくらいの期間使用できそうかを確認しておきましょう。

蓄電池のサイクル数とは、残量0%の状態から100%まで充電し、再び0%になるまでを1サイクルとしてカウントしたとき、何サイクル繰り返すことができるかを示した数値のことです。

サイクル数は、蓄電池の寿命を考える一つの指標となる数値です。例えば、サイクル数が6,000の蓄電池を1日1サイクル使った場合、6,000サイクル÷365日で寿命は約16.4年となります。

ただしこの寿命はあくまで目安であり、保証期間を確認しておくことが大切です。保証期間はメーカーによって異なるため、購入前にチェックしておきましょう。

まとめ

家庭用蓄電池の容量は、自分の家庭に適した大きさを選ぶことが重要です。電気の使い方は各家庭によって異なるため、普段の電気の使用時間や、停電時に使用したい家電の消費電力を計算して選びましょう。

また、太陽光発電システムが既設の場合は、その容量も考慮する必要があります。容量が大きすぎると逆に費用対効果が悪くなる恐れがあるため、実効容量やサイクル数などを確認しながら最適な蓄電容量を選びましょう。

監修者: 東京ガスの太陽光発電サービス コラム編集チーム

太陽光発電・蓄電池の仕組み、メリットから設置、メンテナンスなど幅広いトピックを解説します。みなさまの太陽光発電・蓄電池選びに役立つ情報を発信していきますのでぜひご活用ください!

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