ラバーカップ(すっぽん)を使ってトイレのつまりを直す方法、正しい使い方を徹底解説!
公開日:2023.6.26 更新日:2023.7.28
トイレつまりを解消する際、最も多く使われるメジャーな道具がラバーカップです。すっぽんの愛称でも知られていて、学校や公共施設などのトイレの掃除用具置き場で見たことがある方も多いでしょう。一方で、実際には使用した経験がなく、正しい使い方を知らないケースも少なくありません。
本記事では、トイレつまりの定番道具であるラバーカップの仕組みや種類、使い方を解説すると同時に、ラバーカップの使用を避けた方がいいケースの見分け方も詳しく説明します。
目次
ラバーカップ(すっぽん)のしくみ
ラバーカップの原理は、排水口に密着させて押し付けることでカップ内の空気を押し出し、勢いよく引っ張った時の圧力によって排水口内の異物を吸い出すというものです。1度の動作では吸い出せない場合でも、カップ内の空気が水に置き換わり、同じ圧力でも気体と液体の圧縮性の違いによって、より強い効果が生まれるという優れた仕組みになっています。トイレのつまりはもちろん、キッチンや浴室の排水口のつまりにも利用できます。
ラバーカップ(すっぽん)には和式用と洋式用がある
実はラバーカップには洋式用と和式用の2つの種類があり、それぞれ形状が異なります。ラバーカップを購入する際は種類をチェックし、自宅のトイレに合ったものを選んでください。
和式用は先端部分(ゴム部分)がお椀型になっています。一方の洋式用は、口径が小さく深い洋式トイレの排水口に合わせて、ゴム部分に突起がある特殊な形状をしています。正しい種類を使用することで、排水口との密着度合いが増して、より効果的に異物の除去作業が可能です。作業負担も大幅に違ってくるので、しっかりと確認してください。
なおラバーカップに似た機能をもつ道具に、真空式パイプクリーナーというものもあります。真空式パイプクリーナーはラバーカップの柄にあたる部分に、ポンプがついている形状で、ラバーカップよりも吸引力が強いことが特徴です。トイレのつまりにもよく使用されます。
ラバーカップ(すっぽん)を使わない方がよい場合
ラバーカップは便利ですが、あらゆるトイレつまりに対して万能な道具というわけではありません。つまりの原因が排泄物やトイレットペーパーなどの水溶性のものではない場合は、ラバーカップの使用を避けてください。水に溶けない固形物などをラバーカップの吸引力のみで排水口付近まで移動させようとしてしまうと、便器や配管を傷つける可能性があるからです。またラバーカップの力の入れ加減を間違えてしまうことで、つまりの原因を排水管の奥へ押し込んでしまう危険性もあります。
トイレに混入する可能性が高い固形物は、おもちゃやお菓子の包み紙などです。子どもがいたずらしてトイレに流してしまうことが多々あります。また、ティッシュペーパーや吸水性ポリマーが使用されている生理用品や紙おむつなどを誤って流した場合も、ラバーカップの使用を避けてください。排水管の内部に押し込まれると、つなぎ目部分の変形や管の亀裂を引き起こします。重大な水トラブルが発生してしまうなど、二次被害につながりかねません。
ラバーカップを使わない方がよいトイレつまりの解消法は下記の記事にて紹介しています。ラバーカップが手元にない場合も、代用品を使う方法がありますので、ぜひ参考にしてください。
ラバーカップ(すっぽん)を使ってトイレのつまりを直す手順
ラバーカップによるトイレつまりの解消方法は、以下の手順で行えます。
1. 止水栓を閉めてトイレへの給水を止める
2. 便器内の水位を、ラバーカップのゴム部分が浸かる程度に調整する
3. ラバーカップが便器の排水口に平行になり、密着するように押し当てる
4. ラバーカップ内の空気を押し出すようにして、カップ部分をへこませる
5. しっかりと柄を持ってラバーカップで水流を起こすように勢いよく引く
6. 排水口につまった異物が吸い出されて、ゴポゴポと音が鳴るまで繰り返す
7. つまりが解消されたことを確認してラバーカップを取り出す
8. 止水栓を開けて洗浄用の水を流す
各工程の詳細は、以下に説明します。
1.止水栓または水道の元栓を閉める
まずは、トイレタンクに水を供給している止水栓を閉めてください。排水口がつまって水が流れない状態で、タンク内の水が排出されてしまうと便器から汚水が溢れ出てしまうためです。作業中に誤ってレバーに触れてしまうこともあるため、確実に止水栓は閉めるようにしましょう。
止水栓はトイレの壁や床にあることが多いです。マイナスドライバーが必要なものとハンドル状のものがあり、いずれも時計回り方向に回すことで閉められます。もしトイレの止水栓の位置が分からない場合は、水道の元栓を閉めて作業すればOKです。温水洗浄便座付きのトイレの場合は、トイレタンク用と温水洗浄便座用の止水栓が別々に設置されている場合もあるので、注意して確認します。判断がつかない場合はどちらも閉めていただいて構いません。
2.便器から水が溢れそうな場合は水を抜く(ラバーカップのゴム部分が浸る程度)
作業する時点ですでに便器から汚水が溢れそうになっている場合は、水を汲み出す作業が必要です。溢れそうなほど便器内の水位が高いと、ラバーカップを入れる際に確実に溢れ出てしまいます。また逆流した汚水がこぼれたり、作業中に跳ね返ったりする可能性もあります。
汲み出す目安は、最低でも便器のフチから10センチほどに水位が下がる程度です。完全に組み出す必要はありません。ラバーカップは水の中で便器とゴム部分を密着させて、水圧で排水口内につまった異物を吸い出す仕組みのため、ある程度の水位がないと効果が得られないためです。
3.逆に便器に水が少ない時は水を入れる
便器内に水がほとんど入っていない場合は、水を継ぎ足す必要があります。先述したとおりラバーカップは水中で真空状態を作り出して使うため、便器とゴム部分がしっかりと密着するように、ラバーカップが浸る程度の水位が必要です。
4.トイレが汚れないようにビニールや新聞紙で養生する
ラバーカップを使った作業では、排水口のつまりが解消できるまで何度も押し込んだり、勢いよく引っ張ったりするため、汚水が便器からはねてトイレ内に飛び散る恐れがあります。衛生的にもよくないため、大きめのビニール袋をカットして便器全体を覆ってください。壁や壁面にも汚水が飛び散る可能性があるため、ビニールや新聞紙で養生しておくのがおすすめです。
5.ラバーカップでつまりの原因を除去する
準備が整えばいよいよラバーカップで作業していきます。以下の手順を参考にしてみてください。
1. ラバーカップと排水口を並行に密着させる
2. ゆっくり押し込んで、カップ内の空気を抜くようにへこませる
3. しっかりと密着している手応えを感じながら勢いよく引き抜く
4. つまりが解消されて水が排水されるまで繰り返す
最初は要領が分からずにゆっくりと押し引きする人が多いのですが、上手く作業するにはある程度の勢いが必要です。押すのではなく吸い込むイメージで、引き上げる際に勢いを付けましょう。水がカップに吸い寄せられて、排水口内につまった異物を動かします。
何度か繰り返しているとつまりが抜けた感覚があり、ゴポゴポと音をたてながら汚水が流れていきます。
6.つまりの原因が除去できたか、バケツの水を流して確認する
つまりが解消できた手応えがあれば、バケツに水を汲んで流してみましょう。きちんと排水されて、便器内の水位も通常通りに落ち着けば成功です。最初は様子を見るために、少量ずつ水を流すようにしてください。一気に大量の水を流してしまうと、つまりが抜けきっていない場合、逆流してきてしまいます。いつもと比べて流れが悪いと感じるようであれば、もう一度ラバーカップを使って同じ作業をしてみてください。
7.止水栓または水道の元栓を開けてレバーで水を流す
バケツの水がきちんと排水されたのを確認できれば、タンク内の水も流してみましょう。止水栓(もしくは元栓)を開けて、普段通りにレバーで水を流してみます。
なお、使い終わったラバーカップはきれいに洗浄して、天日干しで乾燥させておきましょう。汚水がついたまま放置しておくと、雑菌が繁殖して異臭を放つようになるので廃棄しなければならなくなってしまいます。きちんと保管しておけば、次回も問題なく使用できます。
ラバーカップ(すっぽん)でつまりが解消しない場合の原因
ラバーカップを使っても上手くつまりが解消できない場合、便器に適合した種類を選んでいない可能性や、使い方の認識を誤っている可能性があります。
ラバーカップ(すっぽん)の種類を間違えている
ラバーカップは便器の形状に合った種類を選ぶ必要があり、誤ったタイプを使った場合は十分な効果が得られません。大きく分けて洋式用と和式用があり、ゴム部分に突起がある形状が洋式用です。現在の住宅用トイレは洋式が主流のため、ホームセンターなどでも洋式用が多く流通しています。
また排水口が四角い形をしている特殊な便器用に、パッコンバーという商品が販売されています。丸と四角では密着度合いが大きく異なるため、四角型の排水口タイプの便器を利用している場合はそちらを選びましょう。
他にも、排水口の口径が大きい便器と小さい便器があるため、最初からサイズが異なるカップが付属したラバーカップもあります。洋式と和式を兼務できるように突起部分の出し入れができる製品もあるため、用途に合わせて探してみてください。
ラバーカップ(すっぽん)の使い方を間違えている
ラバーカップの使い方でよくある間違いが、押し込む際に強く力を入れるやり方です。ラバーカップの構造は、真空状態を生み出すことに特化していて、排水管内部の異物を吸い上げる力が大きく発生するようになっています。押し込む際は、ゴム部分が十分にへこんで真空状態が作られるように意識して、引っ張る際に十分な勢いをつけるイメージで作業してください。
押し込む際に強い力を加えると、配管内部の異物をさらに奥へと押し込んでしまうため逆効果です。また過度な荷重が便器にかかり、大きな負担になりかねません。
ラバーカップ(すっぽん)を正しく使ってもつまりが解消しない時は修理を依頼しよう
非水溶性の固形物が原因でトイレつまりが起こっている場合は、ラバーカップの使い方を少しでも間違えると症状を拡大させてしまう可能性があります。また、大量のティッシュペーパーやトイレ掃除シートなどを流してしまった場合も、ラバーカップの吸い出す力では対応しきれないことがあります。
自力で直すのが難しい場合は、無理をせずに修理を依頼ください。東京ガスではトイレをはじめとした水周りの修理サービスを24時間受け付けています。最短で当日中の訪問も可能なためぜひお問い合わせください。
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まとめ
ラバーカップの使い方を詳しく紹介しました。ラバーカップは手軽に購入できる道具ですが、用途ごとに種類があり、正しいタイプを選ばなければ十分な効果が得られない上、誤った使い方ではトイレつまりの症状をさらに悪化させてしまう可能性があります。自分では直せない場合は無理をせずに修理をご依頼ください。
詰まりの原因に合わせて、ラバーカップを使用すべきかどうか判断することも重要です。トイレットペーパーや掃除用シートなど水溶性のものであれば、万が一ラバーカップの使い方を間違えたとしても症状が拡大する可能性は低いです。中には詰まっているものの量が多いときなど、ラバーカップでは対応しきれないケースもあります。ティッシュペーパーや紙おむつなど、本来トイレに流してはいけないものがつまった場合や、つまりの原因に心当たりがないときは、自分で対処せずに修理を依頼しましょう。

パッチョ/水パッチョ
監修者: 東京ガスの修理サービス コラム編集チーム
突然やってくる水まわりやガス機器のトラブルへの心配を少しでも和らげていただけるように、いざという時の対応方法や修理を依頼する時のポイントなどの情報を発信していきます。

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