この記事でわかること
- 断水時にトイレを流しても良いか判断する方法がわかる!
- バケツを使ったトイレの流し方がわかる!
- バケツを使ってトイレを流す注意点がわかる!
断水時は基本的にトイレを流さない

断水が疑われる場合、配管内に空気が入り込んでいたり、水圧が不安定な可能性があります。誤って流すと逆流や詰まりを引き起こす恐れがあるため、いきなり流さず状況を確認してください。
断水時にトイレを流して良いか確かめるには
断水時にトイレを流して良いかを確かめるには、以下の手順を試してみましょう。
- 給水・排水設備にマンホールの浮上、地盤沈下、配管のずれなどがないか目視で確認する。
- 水を少量流してみて、封水が跳ねる、水面が上がる、異音がするなどがないか確認する。問題なければ暫定使用の段階へ。
- 断水の場合はバケツの水で便器を流し、トイレットペーパーを流せるかどうかではなく、排水が滞らないかを確認。
- 手順1〜3で異常がなければ、必要最低限の使用は可能。ただし、異常の兆候が現れたらすぐに使用中止し、専門業者へ連絡。
覚えておきたい!バケツを使ってトイレを流す手順

災害などで断水が起きたとしても、排水系統に問題がないことを確認できれば、バケツに汲んだ水を使ってトイレを流すことが可能です。
バケツを使ってトイレを流す際の手順を、以下の3ステップに分けて解説します。
バケツを使ってトイレを流す際の手順
- 事前点検を行う
- バケツで流す方法
- 使用後の注意点
事前点検を行う
断水時にトイレを流す前に、給水・排水設備に、次のような異常がないか確認します。
事前点検
- 便器の水位の変化
- 下水管の傾き
- マンホールの浮き など
これらは配管系の損傷があるサインです。発見した場合は、携帯トイレなど別手段を優先し、トイレを使わないようにしてください。
そのまま使用するとバケツで水を流した際に逆流や詰まりが生じる恐れがあります。
バケツで流す方法
事前点検で異常がなければ、バケツに水を汲み、便器内の封水がしっかり残っているか確認したうえで、水を一気に投入します。
便器の種類によって適量は異なりますが、1回あたり約9リットル(バケツ1杯)を目安に、安全に排水されるかを確認しましょう。
流した水が勢いよく排水されれば、汚物の排出が機能していると判断できます。反対に、水が残ったり跳ね返ったりする場合は、使用を中止してください。
使用後の注意点
バケツ洗浄で問題なく流れた場合でも、使用を継続する際にはいくつか注意点があります。
トイレットペーパーの使用は最小限に抑え、可能なら便座への袋掛けや水の確保を意識してください。また、断水復旧後にも排水管内に滞留していた汚物が逆流するリスクがあるため、復旧初期には再度点検が必要です。
さらに、バケツでの流し方はあくまで暫定措置ですから、断水が長引く場合は携帯トイレや仮設トイレの利用も併せて検討しましょう。
断水時に備えておくことも大切です。家庭では、飲料水だけでなく生活用水も非常時に備えて確保しておきましょう。風呂の残り湯や雨水をろ過して利用するなど、状況に応じた代替手段を考えておくと安心です。
また、バケツ洗浄用の水をためておくポリタンクや、災害時用の携帯トイレを備蓄しておくこともおすすめです。自治体によっては災害トイレの利用マニュアルを配布している場合もあるため、地域の防災計画を確認しておきましょう。
こうした日頃の準備が、断水時の混乱を最小限に抑えることにつながります。
断水時にバケツを使ってトイレを流すときの注意点
断水時にバケツを使ってトイレを流すときの注意点は以下の4つです。
断水時にバケツを使ってトイレを流すときの注意点
- トイレの取扱説明書を確認する
- トイレットペーパーは流さない
- お風呂の残り湯はゴミを取ってから使う
- 受水槽のあるマンションは水の確保に要注意
注意点を知らない状態でトイレにバケツで水を流してしまうと、想定外のトラブルにつながったり、水が手に入らなくなったりする可能性もあります。
注意点1:トイレの取扱説明書を確認する

断水時にバケツで水を流す前に、まずトイレの取扱説明書を確認しましょう。
機種によっては、水を直接流すと故障や逆流の原因となる場合があります。特に最新の節水型トイレやタンクレス型は、構造が複雑で一定の水圧を必要とするタイプもあります。
説明書には非常時の対応方法やメーカー推奨の流し方が記載されていることが多いため、平時のうちに確認しておくことが大切です。紙の説明書が見当たらない場合は、メーカー公式サイトで型番から電子版をダウンロードできる場合があります。
正しい手順を把握しておくことで、災害時のトラブルを防ぎ、安心してトイレを使用することが可能です。加えて、家庭内で取扱説明書の場所を共有しておくと、家族全員が非常時に迅速に対応できます。
注意点2:トイレットペーパーは流さない
断水時にバケツの水でトイレを流す場合、トイレットペーパーを一緒に流すのは避けましょう。
バケツで流すと、通常の水圧よりも流れが弱くなるため、紙が途中で詰まり、便器や配管を塞いでしまう恐れがあります。
詰まりが発生すると、修理には専門業者の対応が必要となり、災害時には対応が遅れるリスクもあります。トイレットペーパーはビニール袋や防臭袋に入れて、可燃ごみとして分別するのが基本です。
特にマンションや集合住宅では、下水管が共有されているため、1世帯の詰まりが全体に影響する可能性もあります。衛生面を保ちながら、できるだけトラブルを避けるためにも、紙類は「流さない」を徹底しましょう。
もし衛生面が気になる場合は、防臭袋や凝固剤入りの簡易トイレを併用するとより安心です。
注意点3:お風呂の残り湯はゴミを取ってから使う

災害時には、お風呂の残り湯をためておくと便利というイメージを持っている方もいるでしょう。しかし、新しい防災知識では、一般的にお風呂の残り湯をそのままトイレで流すことは推奨されていません。
異物が混ざったまま流すと、排水口や配管の詰まりを引き起こす可能性があるからです。断水時にトイレ用の水として残り湯を使う場合は、ゴミや髪の毛、石けんカスなどを必ず取り除きましょう。
ヘドロ状の汚れや入浴剤の成分が残っていると排水性能を低下させるため、できればストレーナーや古布で軽く濾してから使うと安心です。
また、バケツで水を注ぐときは、勢いをつけて一気に流すと汚物が効率よく流れます。残り湯は節水にも役立ちますが、衛生面と配管トラブルを防ぐため、できるだけ清潔な状態で再利用することが重要です。
注意点4:受水槽のあるマンションは水の確保に要注意
マンションなどの集合住宅では、受水槽(貯水タンク)にためた水を、各住戸に給水するケースがあります。集合住宅のおもな給水方法は次のとおりです。
方式 | 受水槽の有無 | 概要 | 特長 |
高置水槽方式 | あり | 受水槽にいったん貯水し、揚水ポンプで屋上に設置した水槽へ揚水し、底から重力によって各住戸に給水する | 比較的古いマンションで採用されている |
圧力タンク方式 | あり | 受水槽にいったん貯水し、加圧ポンプで圧力タンクに給水し、圧力タンクの力で各戸に給水する | 受水槽、加圧ポンプ、圧力タンクといった多くの設備を持つ |
タンクレスブースター方式 | あり | 受水槽にいったん貯水し、加圧ポンプの力で各戸に給水する | 圧力タンクを省略できる |
直結増圧方式 | なし | 受水槽を設置せず、水道管から直結させたポンプの力で各戸に給水する | ポンプの性能向上などにより、主流になっている |
断水時、受水槽の水はすぐに使えなくなるわけではありません。しかし、停電などでポンプが停止すると水が供給されなくなる可能性があります。
また、貯水槽内の水は非常用として限りがあるため、共用部分のトイレや消防用などに優先して使用されるケースもあります。
断水が疑われる段階では、不動産管理会社や自治体からの情報を確認し、貯水槽の残量を無駄にしないよう節水を心がけましょう。
あわせて、バケツ洗浄用の水を自宅で確保しておくことも安心につながります。さらに、高層階では水圧低下の影響を受けやすいため、事前に水をためておく工夫が必要です。
断水時のトイレのニオイを防ぐ方法

断水中は水が流せず、封水(便器内の水)が蒸発して悪臭が上がりやすくなります。衛生環境を保つためには、次のようなニオイ対策が必要です。
対策 | 内容 |
封水を保つ | ・便器のフタをビニール袋などで密閉して蒸発を防ぐ ・少量の水や食用油を入れて封水を維持 ・長期断水はラップや濡れタオルで便座とフタを覆う |
消臭剤を活用する | ・消臭スプレーや固形タイプの消臭剤を設置 ・災害用トイレ袋は凝固剤付きが有効 ・重曹やコーヒーかすなど家庭用吸臭剤も使える |
簡易トイレを使う | ・便器に専用のトイレ袋をかぶせて使用 ・使用後は凝固剤で固めて密閉し可燃ごみへ ・便器を直接使わずニオイと衛生リスクを軽減 |
換気と清掃 | ・換気扇や窓を開けて空気のこもりを防ぐ ・便器・床まわりをアルコールシートで清掃 ・消臭スプレー併用で環境を維持 |
断水が解消してもトイレを流すのは最後に

断水が解消しても、トイレをすぐに流すのは避けるべきです。
復旧直後は給水管内に空気が残っており、水圧がかかることで「エアーハンマー現象(ウォーターハンマー)」が発生することがあります。これは、圧縮された空気が急激に解放されることで衝撃波が起こり、トイレのタンクや給水バルブ、配管などが破損する恐れのある現象です。
復旧後は、まずエアー抜きバルブを開いて空気を逃がし、設置されていない場合は蛇口や洗面台の水栓をゆっくりと開けて、水を少しずつ流しながら空気を抜きましょう。音や振動が収まり、水が安定してから最後にトイレを流すようにすると安全です。
焦らず段階を踏むことで、設備へのダメージを防ぎ、正常な水圧に戻してから安心して使用できます。
断水時にトイレで困らないための対策
断水時にトイレで困らないための対策を3つ紹介します。
断水時にトイレで困らないための対策
- 流すときは節水を意識する
- 携帯トイレの備蓄
- 工事や計画断水のときは事前に準備をする
断水はいつ復旧するかわかりません。数日続いたとしても対応できるように、対策方法を把握しておきましょう。
流すときは節水を意識する
断水時に確保できる水は限られているため、トイレを流す際は節水を強く意識しましょう。バケツ洗浄を行うときは、汚物を流すときのみ水を使い、トイレットペーパーを流さないことで使用量を抑えられます。
また、1回の洗浄に必要な水量はおおよそ8〜10リットルですが、便器の構造によってはそれ以下でも流れる場合があります。少量ずつ試しながら調整しましょう。
節水は配管への負担を減らすだけでなく、非常時における貴重な生活用水を長持ちさせる効果もあります。
携帯トイレの備蓄
長期の断水に備えるためには、携帯トイレの備蓄が欠かせません。携帯トイレは、便器にかぶせて使用できるタイプや、個人用の袋タイプなどさまざまな形状があります。
使用後は凝固剤で固めて密閉すれば、ニオイや菌の発生を抑えつつ衛生的に処理できます。
防災グッズとしてドラッグストアやホームセンターでも手軽に入手でき、保管も容易です。
家庭用の非常袋には、家族の人数分と数日分を目安に入れておくと安心です。災害時だけでなく、断水を伴う工事や停電時にも役立ちます。
工事や計画断水のときは事前に準備をする
近隣の水道工事、ダムの枯渇による計画断水など、事前に断水することがわかっているケースもあります。このようなケースでは、前もって準備を行うことが重要です。
例えば、浴槽やバケツに生活用水をためておくことで、断水中でもトイレの洗浄水や手洗い水として活用できます。
また、携帯トイレやペットボトルの水も用意しておくとより安心です。給水所の設置場所や配水時間を自治体のサイトで確認しておくと、断水中に慌てず行動できます。
さらに、トイレの取扱説明書を読み、非常時の流し方を確認しておくことで、いざというときの対応がスムーズになります。
まとめ
断水時は配管内の空気や水圧の変化により、誤って流すと逆流や詰まりを起こす危険があります。
まずは、設備に異常がないか確認し、安全が確認できたらバケツ洗浄を行いましょう。流す際は節水を心がけ、トイレットペーパーは流さないことが基本です。
長期断水に備えて携帯トイレを備蓄し、工事や計画断水時には事前に水をためておくなどの準備が大切です。適切な手順と備えで、災害時も衛生的にトイレを使用できます。
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トイレの使いにくさや故障が気になる方は、「東京ガスの機器交換」でのトイレ交換を検討してみてはいかがでしょうか。








